今月の花館
(今まで今月の花・果実を飾った花です)
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掲載月 サムネイル 掲載種名 コメント
2004.4
ツクシチャルメルソウ ホームページの開設を小さな声でお知らせする意味で選定した。
2004.5
タチバナ そのものは馴染みのある花ではないが、宮崎市民はタチバナという名前の親しみ具合では、多分全国でもトップクラスだろうと自信を持って、爽やかな5月の花としてタチバナを選定した。
2004.6
ツクシイバラ ツクシイバラは、美しさ素朴さと、あでやかさを備えた素晴らしい花だが、上品さに欠けることが欠点ともされる。原種の魅力を大事にしていると自認する宮崎人にも通じる点があることから、6月の花に選定した。
2004.7
ハマゴウ 宮崎の観光地の象徴である日南海岸の青島に渡る弥生橋入り口の夏、白砂の熱気を防ぎ、葉の緑と海の色に似た花の色で宮崎の優しさを感じさせるハマゴウは、宮崎の海に相応しい。
2004.8
ナガバノイシモチソウ 国内でも数少ない貴重な自生地を持つ宮崎では、ボランテイアによる保護活動がさまざまな形で行われ、生育環境を守るための大きな力となっている。
 希少種ナガバノイシモチソウは宮崎の環境を象徴するともいえる。
2004.9
シギンカラマツ 照葉樹と共に生きてきた多くの野生生物は人間に直接の有用性がない故に存亡の危機に見舞われているが、野生種に秘められた潜在能力を再認識する動きもある中で、シギンカラマツを例として深く観察すれば予想もしなかった美しさがある。
2004.10
ハガクレツリフネ 過酷な自然を生き延びてきたツリフネソウは、仲間内でも互いの違いを明確にする必要があったわけだが、それにしても花序のバランス、花全体のデザインは素晴らしい。競争を生き抜く強さと独自の美しさが必要だよとの声が聞こえる。
2004.11
シラネセンキュウ 個々の花も十分な機能を備えながら集団の力で生存競争を勝ち残ってきたが、別には個々の花の魅力で繁栄している花もある。虫媒花としての今後の生き残りの命運を、昆虫と人間の関係に委ねざるを得ないという新しい危機だが・・・・。
2004.12
ヤツデ 他の植物達が休んでいる厳しい寒さの時期、黙って虫たちのために花を咲かせる優しさは、ツバキなどと違って人間に褒められることはないが、大きな体と差し伸べた大きな手のひらのような形の葉は、仏さまの手に似ているような気もする。
2005.1
マダケ 古来から親しまれ生活の役立つものとして広範に利用されており、すっきりと天に向かって伸びる性質、独特の緑色は日本人の清々しさの象徴ともいえる。さまざまなことわざにも使われ、我々の日常生活に今でも大きな影響を与えている。
2005.2
ハチジョウカグマ 太古の昔から生き残ってきたシダには独特の雰囲気が感じられるが、温暖な宮崎ではさまざまなシダに親しむ機会は多い。特に大型のシダは環境に迎合する様子もなく、悠然と葉を広げて風と遊ぶ余裕は、花を必要としない繁殖法にあるのかも知れない。
2005.3
アオキ いつも緑色を保つ葉や茎、枯れ葉の目立つ冬に熟す真っ赤な果実を身近に鑑賞できるる木、牛馬の餌にも民間薬にもなるという優れもののアオキは、日本の特産種だが、よく見ると相当に派手な色の組み合わせだ。案外と日本人に秘めた色彩感覚を与えてくれているのかも知れない。
2005.4
ヤマアイ 人知れずひっそりと咲いているが、けっこう花期も長く、茎を花瓶に挿しても相当に長持ちする。見かけはなよなよして柔らかそうだが、実にしっかりしている。
 日本の山野の変化に耐えて、絶滅することなく進化してきた力は染物に生かされる。
2005.5
マルバウツギ 取り立てて役に立つ評判もなく、花もそれなりに美しさはあるもののウツギの魅力の前には霞んで評価されることは少ないが、 しかし、山道や田畑の周囲から人間の労働を見守り、時に役立って来た里山の構成要員として、今でも変わらず里山風景を支えている功労者である。
2005.6
ツクシヤブウツギ 筑紫の後に藪、ウツギとなると、確かに荒っぽく粗野な感じがするが、花色の変化のサービスぶりを見ると、見かけと違って案外、周囲と調和しながら繁栄してきたのかも知れない。
  しかし、風にゆれる枝の花はなぜか、涼しさよりは汗を誘うようにを感じる。 
2005.7
アオカズラ 青い葛とは、いかにも単純明快な名前だが、命名者のマキシモビッチも藍い果実のついた標本を見たら、別の名前を考えたかも知れないなどと想像したくなる。
 青い山、青々した草木、赤や藍の実、日本の山野を彩ってきた風景を、アオカズラの果実は映している。
2005.8
ホウライカズラ 秦の始皇帝の命で、徐福が向かった不老不死の仙人の山の一つ蓬莱山の名をもらうほど珍しい葛だが、地域によっては絶滅危惧種に指定されるるほどに減っているのは、常緑樹林の減少によると思われるが、大陸の東方海上日本の魅力がまた1つ消えてゆくことに繋がるのだろうか。
2005.9
シコクママコナ 葉の大きさも量も全く普通の植物であり、花を咲かせ子孫を残すだけの自活能力はありそうだが、地球上で広く繁栄しているイネ科植物を宿主に選んで半寄生の道を選択し、生き残ってきた。
  長い進化の過程で獲得したパラサイト能力の深い意味は理解を超えている。
2005.10
オオマルバノテンニンソウ 大きく逞しそうに見える殆どの葉が、網目だけを残して見事に喰われている光景も珍しくない。
  これだけの群生量で虫に食料を供給してということは、虫からも利益も受けているはずだが、素人には名前の意味と同様にその共生の仕組みは判らない。
2005.11
オオバヤドリギ 寄生する植物が逞しい分、寄生根のすごさも驚くほどで、自然界の生存競争の恐ろしい一面が垣間見える気がする。
  一方ではまた、これだけの葉を備えながらも寄生するという生き方を許容する懐の深さを持つのも自然界であり、特にその一員である人間は寛容でありたい。
2005.12
ツワブキ 寂しい冬の庭を明るくしてくれる貴重な花として、食用として、日常役に立つ打撲、切り傷、食あたりに効く草として人里周辺にあってまことに重宝な植物。
  フキと違って自生地は沿岸地域で、開発等変化の多いわりには、減少している様子は見えないのもうれしい。
2006.1
アオダモ(コバノトネリコ) 古代ゲルマン民族の神話では、海に浮かぶ大地の外縁部は巨人の国、内側は人間の国、そして中央には神々の国アスガルズがあり、中央に万物を支える宇宙樹ユグドラシル(大トネリコ)が聳えていると、またノアの箱舟の用材もトネリコの仲間だったとの説が多いとの記載(樹木大図説 上原敬二著)は実に楽しい。
2006.2
イワガネ   枝ぶりが悪く、花もパッとしない、実も役に立ちそうにないし、葉も紅葉するわけではないので、有用好きな人間との接点はなさそうに見えるが、果実の特徴がこの植物の生き残り戦略を示しているとすれば、その果実の意味を知りたいと人間が近づいてくることにもなる。
2006.3
ミツマタ 中国から持ち込まれ、集合して黄色いまん丸になるミツマタの花は日本人を連想させるが、多くの移入品を日本流にアレンジして文化を築いてきた日本人にとっても、ミツマタは特に相性が良いようだ。  お金にも美しさが要求される日本の紙幣原料として欠かせない樹木で、日本を経済、文化の両面から支えている。 
2006.4
キリシマミズキ まだ風が寒く、背中が丸くなる高原の4月、日本初指定の国立公園霧島地域に春を告げるキリシマミズキの黄色は、植物たちをやさしく目覚めさせる役目なのだろうか。 やがて野山が賑やかに動き出し、山肌をミヤマキリシマの鮮やかなピンクに装う霧島の変化は、そのまま人間のバイオリズムにも合致している。
2006.5
トベラ 扉という言葉が何時ごろから日本で使われていたか知らないが、この木は昔からトビラと発音されていたようだし、学名にもtobiraがついているほどなので、古くから扉に挿す魔除けの木としてトビラと呼んでいたことは確かなようだ。花も葉も実もそれぞれに主張の目だつ木ではある。
2006.6
トチノキ 縄文時代遺跡から出土した植物遺体の中で、食料と考えられる39種は、ヤマモモ、クリ、ブナ、ハシバミ、トチノキ、オニグルミ、カシやシイの類その他だが、宮崎県の高千穂町陣内遺跡のトチノキもこれに含まれている。
参考(縄文時代の植物食、昭和50年 渡辺誠著 雄山閣出版)
2006.7
アオノクマタケラン 日光の注さない湿り気の多い海沿いの林の中、無毛で柔らかい光沢のある葉と妖しげな淡いピンクの花に引かれて近づけば、女王を護るように一斉に襲ってくる藪蚊の集団。女王の名前には守護神のクマがついているというミステリーじみた想像をしたくなる。種小名の「intermedia」は中間を意味するが、これも不明。
2006.8
サネカズラ 天平5年(733年)編纂とされる出雲国風土記にも名前が出てくるほどなので、歌の材料とか果実の観賞とかでなく、当時の生活に有益な植物だったはずだ。 果実は咳止めや強壮に効くらしいが、当時この木だけの利用法、つまり整髪料等に使われた木だから記載されたと思いたい。枕草子等に使用の例は出てないが。
2006.9
ヒュウガギボウシ                    光と水を求める植物たちの競争の世界、様々な工夫で生き残ってきた種の中で、瑞穂の国、日向の地に特化して住み着いた頭脳派。 日の当たりやすい崖地で、流れ落ちる水飛沫を浴びるという独自の作戦で、根から水分を吸収するエネルギーを浮かせて何に使っているのか、もったいない、やはり呑気な日向の住人。
     表紙コメント
滴る水、上下に揺れるヒュウガギボウシ、涼しさの微妙な変化のほどに揺れている
2006.10
ミツバアケビ 日本中の山野にあって葉や花が鑑賞に堪え、果実が食ベて甘く、蔓が役に立ち庭木や盆栽にもなる優れものだが、里山でこのアケビ類を森の動物達と分け合う知恵と楽しさを知らない人が増えてきた。
  経済大国の日本人は、森の生き物と共存できる里山を復活し、心豊かな大和の国日本を再生できるだろうか。
      表紙コメント
高木に絡んで自由に陽光を浴びるミツバアケビ、甘い果実は葉陰に見え隠れする
2006.11
センダン 九州で子供時代を過ごした年配者に聞くと、大抵の人が校庭にセンダンの木があったといい、実を好んだヒヨドリの名とともによく憶えているが、他にもあった他の大きな木については、名前ははっきり憶えてないという。 私もその中の一人だ。 
      表紙コメント
うさぎ追いしかの山、センダンの風景は、はるか昔の木造校舎の校庭につながる。
2006.12
イヌガンソク ガンソクとも云われるシダ(クサソテツ)に似ているからイヌガンソクとは、長いサバイバル競争を勝ち抜いて来た勝者を讃える敬意が伝わらない名前に思える。
  胞子葉の形を見ただけでも、中生代白亜紀の恐竜の地響きに揺れながら生きていたことがイメージできるのに。  
      表紙コメント
胞子嚢を保護しながら進化し生き残ってきたシダの名前、もう少し敬意が欲しかった。
2007.1
マンリョウ  寒さが増すほどに鮮やかさを増すこの実の1月末の赤はどう表現すれば良いのか。
  平安時代の文献にでも出ていればなあと思いつつ、色見本帖と比べて韓紅の赤に似ているとしか表現しかできない無念さ。
  あらためて昔の人の色彩感覚を思う。 
      表紙コメント
千両万両ある中で、赤い実を売り出す工夫のバックに緑葉、一番目だって万両獲得。
2007.2
ユズリハ 高校生のデイベート競技で、自己主張や相手の弱点を論破する能力が賞賛される時代、譲りハと聞くとホッとするが、最近では企業の生き残り戦略に「生物の多様性を学ぶ」という発想が出てきたとも聞く。
  共存はお互いに譲ることから始まるというユズリハの声を聞いて欲しい。 
      表紙コメント
痛んではいるがまだ葉は緑、しかし果実は熟した。新葉に役目を譲る日も近い。
2007.3
キブシ  早春の日本各地でいち早く春の到来を告げて咲く、日本人の好きなフジにも似た風情のある花だが、昔から果実の利用に関する話ばかりが多い。
  染料となるタンニンを含む果実の利用が有益で、花より団子だったのだろうか。
      表紙コメント
早春の野山に目立つ花で日本人好みに思えるが、何故か詩歌では目立たない。
2007.4
トサコバイモ  まだ周囲は眠っている早春の山中、積もった枯れ葉の色に紛れた小さな花には、どんな昆虫が受粉の媒介に訪れるのだろうか。
  気の遠くなるような年月、自然の変化に合わせて獲得した生存の仕組みに沿って、葉を出し花をつけ実となって枯れるだけ。
      表紙コメント
山地林下に咲く春植物で、頭上に葉が茂る前に花を咲かせ、そして実を結び枯れる。
2007.5
シャリンバイ 土地を選ばず丈夫で、煙害や潮風等に強く、臨海公園等の植栽樹として重宝されているが、名前はあまり知られていない。
 車輪状の葉の間から見える真っ白な5弁花は家紋のデザインにぴったりの気がするが、車輪梅の紋は聞いたことが無い。
梅に似ているせいもあるのだろうか。
      表紙コメント
日南海岸の鬼の洗濯岩が見える高台、潮風と潮騒がやさしくなるとこの花が咲く。
2007.6
シロドウダン 和名は白燈台とも書き、枝の出方が昔の3本脚で支える燈台の形から来たという(画像8 参照)。満天星は漢名で、昔、太上老君が仙宮で霊薬を練るうち誤ってこぼした玉盤の霊水がこの樹に散って、凝って壺状の玉になり、あたかも満天の星のように輝いたという伝説に因むと図説花と樹の事典(木村陽二郎監修2005年柏書房)にある。
      表紙コメント
僅か1cmほどの白い花冠の先はギザギザ、昆虫の花粉媒介に関係するのだろうか。
2007.7
ギョクシンカ 花の形や花から発するジャスミンに似た香りなどから考えて、訪れる昆虫も数種類いるだろうとは思われるが、自生地が九州以南に限られていることもあって解説した本は少ない。中央版の本に頼らず、薮蚊の中で根気よく観察してコメントする地域力の時代とは思うが。
      表紙コメント
人気のない蒸し暑い海岸林内、木漏れ日の空間にひっそりと生きる花は純白。
2007.8
イワタバコ  タバコは天正年間の渡来らしいので、古名の岩ヂシャ、岩菜等で和歌集等を調べても出てこないし、風情ある花なのに園芸植物として好まれ、色変わり等の品種が作られたようでもない。現代歌にも少ない気がするが、名にタバコとついたせいでもあるまい。
      表紙コメント
8月の暑さを忘れる谷間の遊歩道、訪れる人の一番人気はやはりイワタバコ。
2007.9
サイヨウシャジン  シャジンの仲間は花や葉に変化が多く、それらの特徴を捉えて自生地名等を頭につけたシャジン名で種や変種に分けているが、その中間型があるのでややこしくなる。
 九州のサイヨウシャジンは中国地方辺りを境にツリガネニンジンに変化するが、九州でも一部変化が見られるから悩ましい。
       表紙コメント
まだ夏気分の残る草原、空に紛れる花冠が揺れて、秋を誘う鐘の音七つ。
2007.10
ツクシトウヒレン  九州でも限られた山地の一部にひっそりと自生してきたツクシトウヒレン。
 増え過ぎたシカの食料となる野生種が消えゆく中で、硬い刺の代わりにとげとげしい外見を選択してきたが、シカがこれほど山中深くまで増えるような事例も過去に経験したことがあったのだろうか。
       表紙コメント
山地でひっそりと生きる希少種にもシカの食害が目立つ昨今、この花はまだ大丈夫。
2007.11
ツタウルシ 有用性が少ない上にかぶれ成分の多いツタウルシは人間に敬遠されているが、例えば猿や鹿などもかぶれないのだろうか。
  猿がハゼ負けした話や、秋にモミジやツタウルシの周辺に集まっっていた話は聞いたことがないので、やはり、紅葉の鑑賞やかぶれ現象は人間特有のものと思われる。
       表紙コメント
敬遠はかぶれ防止でやむなしと、思いながらも万葉集、一首は欲しいこの鮮やかさ。
2007.12
サツマルリミノキ 動物は陽光の下ではかなり平等に色の識別能力を持つと思うが、薄暗い樹林内では照らさない限り、人間にこの瑠璃色の美しさは見えない。
  無粋に照らすことなくそのままで、瑠璃色の美しさを理解し、種子散布に協力してくれる澄んだ目の持ち主は誰なのだろうか。
       表紙コメント
瑠璃も玻璃も照らせば光る。だが薄暗い林内でこの鮮やかさを発信する相手は?
2008.1
リュウビンタイ 植物が陸上に進出して4億年、分化・進化を繰り返して種子植物が繁栄しているが、シダ類や裸子植物に向かう系統に分化する段階で我が道を行き、3億年前から生き残ったのがリュウビンタイ、と記述の図鑑もある。
 まさに日本の山野そのもので、山の神と一体化した侵しがたい雰囲気がある。
       表紙コメント
海近くの里山、リュウビンタイの茂る林道脇の格好の岩屋、山の神の榊は何時も緑
2008.2
ヤブツバキ ヤブツバキとサザンカの違いは本文で触れたが、さらにツバキがメジロ、ヒヨドリなどの鳥媒花なのに対し、サザンカはハナアブなどによる虫媒花という違いが実は最大だ。
  ツバキは出雲風土記に出てくるほど昔から知られているが、山茶花は例えば豊後風土記にあればツバキに含まれているだろう。
       表紙コメント
常緑の広葉樹もうな垂れる寒の季節。ああ、さすがに常緑樹の代表!精気キラキラ。
2008.3
ホトケノザ この3階草がホトケノザ(仏の座)と呼ばれ出したのが何時ごろからか判らないが、春の七草に歌われたコオニタビラコが、平安時代の知識人の間でホトケノザと呼ばれていたにも関わらず、いつの間にか仏の座を占めている。 虫媒花ながら閉鎖花も合せ持つなど世界に広く分布する強かさが感じられる。
       表紙コメント
カスミソウと呼ばれるほど集団の力で昆虫を呼ぶが、閉鎖花も備える周到さがある。
2008.4
ヤマトアオダモ   和名の頭にヤマトをつける場合には、命名者も相当に考え悩んで決定すると思うが、冠ヤマト名植物は全体で10種に満たない。
 その内樹木は2種、その1つがヤマトアオダモだが、花も果実も目立たないし、庭木・盆栽でも聞かない。しかし特定の用とは別に、孤立した高木の風格はまた格別である。
       表紙コメント
やまとが頭に付く数少ない草木の中で、悠揚迫らぬ風格と形容するに相応しい樹である。
2008.5
ミズキ   山里の5月、向山のミズキが白く咲けば焼畑の種蒔きで、お山の雪形は農作業に取り掛かる目安であった。
  科学と合理化が進んだ現在、焼畑は古老の思い出の中、雪形に注意する人もないが、こけし職人の目はまだまだミズキに優しい。
       表紙コメント
里山で目立つ花は、かっては焼畑で稗や粟の蒔き時の目印で、残雪の雪形に通じる。
2008.6
ミツバウツギ  日本にあるミツギウツギ科3種の和名は、ミツバウツギが類似性、ゴンズイが有用性、ショウベンノキが特性に由来と思われる。
 多分この3つが命名の3原則と思われるが、僅か3種の科で3原則を全て使って名付けられたミツバウツギ科の和名は、個別には賛成しかねるものもあるが、また面白い。
       表紙コメント
樹の説明にちょっと変わった果実の表現は難しい。やはりウツギの花に似た樹となる。
2008.7
エゴノキ  里山が日常の生活圏であった祖父母の時代までは、草木は生活資材であり、食料の補完材であり、子供の遊び相手で、民間薬であった。それぞれの利用法とともに受け継がれてきた判り易い呼び名も、生活様式の近代化に伴って伝える必要がなくなり、今は図鑑の中でごく一部が残るだけになった。
       表紙コメント
伝えられた様々な草木の利用法と呼び名の里山文化、利用なしは縁なしで名も無用。
2008.8
ノリウツギ   ほぼ日本中の里山周辺に多く、日常の生活に有用で、暑い夏にも目立つ特徴のある花だが古典文学等には出てこないらしい。    関係の深い和紙の歴史からすれば、いくつかの書物に出てきてもよさそうな気はするが、確かに花を愛でる樹ではない。
       表紙コメント
この木を紙漉き用の粘剤として売れた「ノリギ」と知る古老は、山里にもごく僅か。